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労使間における無過失責任主義

民法の不法行為等については過失責任主義という法的な立場がとられます。

これは「被害者側が加害者側に故意・過失があったことを立証しない限り加害者側に賠償義務が生じない」とするものです。

こうしないと「言いがかり」のようなものが増えて我が国は訴訟国家となってしまうでしょう。

一方でこの逆の立場である無過失責任主義という立場が取られる法律があります。これは「故意・過失のあるなしに拘らず

被害者側が損害があったということだけで加害者(とされる)側に損害賠償請求ができる
」というもので、

もし、加害者(とされる)側が賠償を逃れたければ「加害者側に故意・過失がなかったことを立証する」ことをしなければなりません。


無過失責任主義の立場は被害者保護の観点から古くは自動車損害賠償保障法(自動車事故なので加害者・被害者が明らか)、

製造物責任法(被害者側の立証が困難)で取り入れられてきましたが、昨今は多くの法律で消費者保護の観点から

取り入れられているばかりか、労働安全衛生法では事業者(経営者)に安全配慮義務が課されており労災事故の際

「事業者が過失がなかったことを立証」しない限り賠償義務が発生する
ということになっています。


かつては労災事故の際、独自の災害補償規定などで政府労災(労働災害保険)を超えた見舞金等を被災者やその遺族に補償する

法人は「福利厚生が整っている会社」とされていました。しかし、事業者側に義務が課され、賠償義務が生じる以上、

見舞金程度では済まされず被災者の死亡など労働が継続できない場合は逸失利益が問われる
こととなります。


逸失利益の金額は40歳、年収500万円(配偶者、お子さん二人)の方で7,000万円〜8,000万円にもなると言われています。

また、弁護士の数は20年前に比し2倍以上となり、法律事務所等も広告を打っていることから被災者やその遺族が訴えやすくなって

いる環境からも事業者の皆さまは経営リスクとしてとらえ、災害補償規定の整備や保険ヘッジできるものは

手配するなどの備えが必要と考えます。

※2024年3月時点の内容となります

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